靖国参拝に関する朝日新聞の世論調査

10月19日朝刊の朝日新聞一面に、首相の靖国参拝賛否二分という記事があリます.

 小泉首相が靖国神社を参拝した直後の17日夜から18日にかけて、朝日新聞社は緊急の全国世論調査(電話)を実施した. 首相が参拝したことを「よかった」とする人は42%,「参拝するべきではなかった」は41%で、賛否が二分された.参拝に対し中国、韓国は反発を強めているが、両国との関係悪化を「大いに」「ある程度」心配しているヒトは合わせて65%に上った.両国の反発を政府が「重く受け止めるべきだ」とした人も53%いた.参拝の評価が割れる一方で,周辺国への配慮を重視する意見の強いことが改めて示された.と伝えています.これを受けて、小泉首相周辺は「微妙な結果だ」としながらも、まずは世論の強い反発は避けられたとの安堵感をもって受け止めている.と記事にはあります.(一部引用しています)

 この記事を読んで、「本当ですかその世論調査?」と疑問をもたざるを得ません.
 調査方法を読むと、「朝日RDD方式」で電話調査をした.対象者の選び方は無作為3段抽出法。有効回答数978人,回答率56%.と記してあります.

 「朝日RDD方式」とは「朝日ランダム・デジット・ダイヤリング(RDD)方式」の略で、 コンピューターで数字を無作為に組み合わせて調査対象の電話番号を作成するシステムらしいです.しかし、この調査方法に関し思いつくだけでも、携帯電話の普及とともに固定電話設置対象者が各世代や地域を代表していない点,調査された時間帯により対象者がある集団に偏るという点,電話調査のため相手の正確な世代等までは分からない点、調査内容がかなり思想調査に近いため調査対象者による意図的な回答回避が起こる可能性がある点、など様々な問題点やバイアスがあります.

 また、有効回答数(N)が1000未満で回答率が56%しかなく,統計上の誤差は±3%に上ります.(誤差に関してはここを参考)もし手間とお金を惜しますにもっとたくさんのサンプルを集めれば違う結果になっていたかもしれないのです.

 私は統計について全くの素人ですが,統計は2群間に差がないとする仮説を棄却することにより有為差を証明するものだそうです.とするならば,両者に統計的に差があることを証明することは、両者に統計的に差があるとはいえないことを示すのに比べ遥かに大変だろうと思います.また、両者に統計的に差がないということと、差があるとは言えないということとは全く次元の違うものであることが推測されます.今回の(いやいつもそうですが)世論調査の数字は、「よかった」と思う群と「よくなかった」と思う群に、サンプル数の不足により統計的に有意な差は認められなかったのであって,統計的に差がなかった訳ではないことになります.(混乱しますが・・・)

 したがってこのような世論調査の数字は、書き手によりいかようにでも書くことができます.朝日新聞および首相サイドは、この結果を自分に都合良く解釈して,今回の靖国参拝は国内世論的にはたいした問題にはならなかったと言うムードを作り出し、靖国参拝の問題を中国と韓国に対する外交問題に矮小化するのに世論調査を巧みに利用しています.

 ちなみに、6月28日のasahi.comによると、首相の靖国参拝に関する世論調査(朝日RDD方式,無作為三段抽出法,有効回答は1869人、回答率は58%)によると、「やめた方がよい」と答えた人が52%と過半数を占め、「続けた方がよい」は36%だった。と記載されています.単純に考えて、参拝したあとで「やめた方がよい」と考える人の割合が58%から41%に17%も下がっているのっておかしくありませんか?

 国民が「ぶれない」小泉首相に麻痺してしまったのか,朝日新聞が世論調査を利用して世論操作をしていると思えてなりません.選挙中の郵政民営化礼賛記事といい、靖国参拝に関する社説といいこのごろの朝日新聞の変節は読むに耐えられません.何とかなんないものかと憂いてしまいます.
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by pantherH | 2005-10-20 02:03 | 社会
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