ちょっと遅いんだけど・・・

 トリノで日本勢がメダルを取って、感動の秘話を作ろうと意気込んでいたマスコミは、その思い叶わず、そのはけ口にメールの真贋を論うのに必死の今日この頃、みなさんいかがお過ごしですか?(元気なわけないですね。ここは鼓舞して、鼓舞して・・・)

 今頃のエントリーじゃちょっと遅いのだけど、「トリノのアルペンスキーはやっぱすごいぞ」と書きたくて書いちゃいます。残念ながらスーパーGは見れなかったのだけれども、滑降と大回転は迫力満点でした。テレビでは、ハーフパイプだスノーボードクロスだと騒いでいるけど、競技の持っている緊張感が全然違います。スタート前に、自分を鼓舞して鼓舞して鼓舞しまくって恐怖心を克服し、それでいて冷静な頭脳を維持しなきゃいけないアルペン競技は、選手から伝わってくる張りつめたオーラが、「スポーツーw」と実感させてくれます。

 アルペン競技はどの種目も、滑る前にインスペクションといってコースの下見をします。滑降競技の場合は斜面変化はもとよりコース内の小さな起伏の位置、プレジャンプをする方向(たとえば飛び出す方向にある目標物)などをあらかじめ頭の中にインプットしておきます。特にターンをしながらのプレジャンプなどでは、そのときのスピードや弧の大きさで、受けるGやジャンプしたときの方向が微妙に変化します。なので選手は本番前に3日間、トレーニングランといって本番と同じようにレースを行いラインやスピードのイメージの修正を図ります。綺麗なラインを選べば、安全で身体への負担も少ない反面、スピードにのらなかったり、遠回りをしてしまったりします。一方、弧を小さくして果敢に攻めると、その分Gが大きくなり、結果的にエッジングを強くしすぎたり弧が膨らんだりして余計にタイムロスしてしまいます。トレーニングランではほかの選手のタイムやラインどりと照らし合わせながら、そのイメージを修正していくのです。
 
 そして迎えた本番のスタート直前、ひとつミスすると大怪我に直結するかもしれないフルアタックするラインを何度も何度も頭の中で反復し、鼓舞して鼓舞してアドレナリンを出しまくるのです。まさに静と動の同居した状況です。
 レースが始まります。一番スタートの選手の情報がスタートにいる選手に入ってきます。昨日までのトレーニングランよりもタイムが2秒ほど速いようです。本番ですもの、集中力が違うので当然かもしれません。しかし、今日の雪は昨日よりもスリッピーなのかもしれないし、選手はより積極的なラインを果敢に攻めてきているのかもしれません。自分のイメージしたラインで勝てるのか。もう少しあそこをチャレンジしようとスタート直前イメージに若干の修正を加えます。コンセントレーションを極限まで高めてゆきいよいよ自分のスタートです。氷点下6℃のスタートハウスでは選手の身体から湯気が湧き上がります。

 いくぞ、いくぞ、いくぞ。やるぞ、やるぞ、やるぞ。
 そりゃー。

 加速とともに風の音が高まり、視界も徐々に狭まります。
 最初の大半径ターンは予想以上にたたかれます。
 思ったよりスピ-ドが出ているぜ。プレジャンの方向ケア。わお。やばい、ターンが仕上がらなかったせいであさっての方向だ。まじーぜ、飛びすぎた。よっしゃ、リカバリーはOK。よっしゃ、これから挽回だ。 
 しかし、今日は曇り空のため斜面の小さなこぶがよく見えません。少しずつタイミングが遅れているのが分かります。
 浮くな、浮くな、柔らかく、柔らかく、下半身柔らかく。そう言い聞かせながら難儀な小さなウェーブをこなしていきます。
 ここは攻めどころだ。カットイン!うお、やばい。 やばい。 うわ、きっつー。いけっ。いけっ。 ふー。助かった。
 走ってる。走ってる。緩斜面は走ってるぞー。あそこのポイントはそつなくこなして・・。
 よーし、最後のプレジャンでゴールだ。

 若者の荒削りで果敢な滑りと積極的なラインどり。ベテランの柔らかい滑りと無駄のないラインどり。
 静と動、勇気と恐怖、攻めと守り、美しさと速さ、が絶妙なハーモニーを醸して挑む勝負 「アルペンスキー滑降」。
 やはり、僕はこの世界の虜だ。

 25日には男子回転がある。佐々木明はきっとやるだろう。でも、それ以上に、世界のトップアスリートのベストパフォーマンスを見たいのだ。
 いくぞ。いくぞ。いくぞ。そりゃーw。
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by pantherH | 2006-02-24 00:33 | 趣味
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