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靖国判決に思う

本日大阪高裁で,小泉首相の靖国参拝は,憲法第20条第3項「政教分離の原則」に違反する行為であるとする判断を下しました.この判断に対し私は至極妥当だと考えます.

 靖国参拝是非に関する問題点は,「政教分離の問題」、「戦争責任の問題」,「侵略された国の遺族感情」,「日本の遺族感情」の4つの問題があると思います.

 小泉首相の「日本のために戦死した人々に哀悼の誠を捧げる」ための参拝する姿勢は,他の3点を無視し、最もイメージに訴えかけやすい「日本の遺族感情」のみに靖国問題を矮小化しています.他の3点について 「熟考」すれば、公人たる人が靖国に参拝することは、「憲法的」にも「道義的」にも許されるはずがありません.

 しかし、「政教分離の原則」に違反するか否かという判断がなされる際に、いつも問題にされる「公人か私人か」という点に関していつも疑問を感じてしまいます.そもそも内閣総理大臣に「私人」としての権利なんかあるのだろうかと.トイレにいったり夢精をするプライバシーはあるかもしれないけれど,誰かに会うというごく単純なことでさえ,私人としての個人以上の意味がそこには存在すると思います.,民主主義として、権力者のプライバシーは制限されるということは国民を代表している以上当然であるという認識が欠落しているような気がします.

 さらに、靖国神社は民主主義を否定する象徴であり,そこに参拝する国会議員の数と民主主義の成熟度は逆相関する気がしてならないのです.

 また、今回の小泉郵政解散は違憲の可能性が高いといわれており,やはりこの点に関し訴訟を起こす有益性はあるのではないかと感じました.公職選挙法によると投票日から30日以内に高等裁判所へ訴訟を起こす必要があるようです.
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by pantherH | 2005-09-30 22:13

私の絶望感

 私は9月11日,小泉自民党の圧勝が伝えられたとき,岡田代表に期待した言葉は、「この選挙の敗因は,国民が愚かだからだ」という言葉でした.もちろん,民主党の選挙戦略やいろいろなことに私自身不満はあったし,岡田代表の責任も重かったとは思います.それを棚に挙げてでも「国民は愚かだ」といってほしかった.これが,小泉ポピュリズムへの最大の皮肉と抵抗なんじゃないかと、選挙報道を見ながら思っていました.唯一,亀井静香が「国民は愚かだ」とテレビで堂々とコメントし,肝が据わっているなと器の違いを感じたものです.

 この思いは,与党2/3議席獲得という猛烈な危機感から沸き上がった気持ちではあります.しかし、正直に告白するとその気持ちがなかなか拭いきれないのです.

 今回の小泉大勝を支えたのは,知的下層階級いわゆるB級層であったといわれそれが定説になりつつありますが,本当にそうなのでしょうか?

 普段一緒に働いている仲間や尊敬している人,いい人だと感じている人の口から,しばしば小泉を支持する発言を耳にしました.あるいは私のアンチ小泉的な発言は冷ややかに受け止められました.(わたしの不徳の致すところではあります)私にとって小泉は,「民主主義を否定する」「相手を思いやりながらまじめに生きることを否定する」ことと同値でしたので、えっ、この人も小泉支持者?と知った時の落胆は計り知れないものがありました.この落胆が怖くて,身近で選挙や政治の話をすることを避けるようになりました.今回の小泉選挙のもたらした絶望感は,アンチ小泉が異端視され排除されるということだけでなく,その人が小泉的なる人だと知ってしまう恐怖にあります.既に私の精神がファシズムに毒され牙を抜かれてしまってるのかもしれません.単なる一時的な抑うつ状態ならいいのですが・・・.

 ブログはリハビリだと思ってます.私の共感する方々のブログに勇気と知識を頂き,身近で普通の言葉で政治の話が出来るようになれたらと思ってます.
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by pantherH | 2005-09-29 00:56

ベトナムとカンボジアで思ったこと

遅めの夏休みを取り、先週ベトナムとカンボジアに旅行に行って来ました.
先週末には帰国したのですが,たまった仕事を片付けるのと,急に秋めいた日本との寒暖の差に風邪をひいてしまい更新が遅れてしまいました.
 相変わらずの日本に帰国早々意気消沈,風邪ウイルスの付け入る隙を与えてしまいました.

ベトナムはハノイでホーチミン廟やホーチミン博物館などを見学.
カンボジアはアンコール遺跡群にいきました.

 ホー・チ・ミンについてあまり勉強していかなかったのを後悔しましたが,展示されていたホー・チ・ミンの発言を読むと,なんて格調高く,普遍的で,わかりやすく,愛情に満ち溢れている言葉なのだろうかとため息が出てしまいました.彼は共産主義者ではなく、もっと柔軟で具体的で普遍的なものを思い描いていたんだろうなと思えました.
 彼の住んでいた家からは,物事は思索から始まるということを訴えかけられているようでした.
 彼の写真からは,品と鍛錬と人間愛それから啓蒙という言葉を投げかけられているようでした.

 市内の喧噪も,自動車ありオートバイありシクロあり歩行者あり、みんなが思い思いの方向へ,思い思いのスピードで(と言っても時速30キロ以下なのですが)走り,管理社会日本から来ると,羨ましく思われました.
 ホー・チ・ミン主席のポスターを大量に扱っているお店があり,コミュニストだったのかな?数名の西洋人が一生懸命選んでました.
 それからホアロー収容所や革命博物館の展示パネルには,第2次大戦時の植民地支配に対して、French colonist, Japanese fascistと明確に区別されて記載されていました.決して日本がcolonistからの支配を解放しに来たなどといった記載はありませんでした.むしろホアロー収容所ではjapanese fascistによる拷問についても書かれていました.自虐史観とかいって歴史を歪曲してはいけません.

 アンコールでは仏教やヒンドゥー教について教養がないことを痛感しましたし,市場というのはすごいなーと改めて思いました.これは善悪の問題ではなく、ある意味必然なんですね.その上でどのように対峙していくのかという問題なんだなーと思いました.(ちょっとフィデル・カストロの受け売り・・・)

 そして何よりカンボジアで感じたことは、「平和が全ての大前提」ということです.内戦が終わってシェムリアップはホテルの建設ラッシュで、大勢の観光客が訪れていました.現地の経済も上向いています.もちろん格差が生まれたり,外資が多くの利益を独占している現状はありますが,これから改善していける問題です.事実、私たちのガイドは朝6時からお寺で日本語の勉強をし,夜8時頃までガイドをしてくれ,その後大学で授業を受けているそうです.勉強して自分をそしてカンボジアを良くしたいと意志に意欲している姿が印象的でした.
 
 恵まれた環境にいる私たちも,意志に意欲する姿に学ばなくてはいけません.
 そしてホー・チ・ミンの思索と鍛錬に学び,希望を抱き続けなければいけないのだと教えられた旅行でした.

 
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by pantherH | 2005-09-28 01:00 | 社会

現実逃避してきます

民主党党首も前原誠司氏に決まりました.

 前原氏は若くてハンサムらしいですが,発言を聞いていると、簡単に与党の挑発にのってしまいそうな気がするんです.次期民主党内閣防衛大臣として,与党の防衛族や制服組とともに,アメリカの米軍再編の戦略会議に出かけているし・・・.内閣担当責任能力を示そうとすれば,そういうところで人脈や情報網を築く必要性もあるんだろうけれど.でも、これって政府の諮問会議のメンバーに選出されて、体制よりの発現ばかりする御用学者と同じで,体制側に利用されるだけのような気がするんだけどなあ・・・.自民党が一番困る人は誰なのか,って言う観点での人選はなかったのかな?
民主党の一番の敗因は国民はずーと利権政治に嫌気がさしていたのに、きちんと自民党の利権政治を追求しディスクローズすることをまじめにせず,政権交代すれば全て解決すると言う、小泉顔負けのイリュージョンを使って野党としての仕事を曖昧にして来たことにつきると思うのです.族議員を倒すのは民主党だったのに、その役割をするりと小泉に奪われちゃったからなんだよなー(嘆息).一からの出直しというのは、しっかりと権力の監視人になるということから始めるってことじゃないのかな.そんな決意が前原さんからは感じないんだもんなー.
 
 今日から私はようやくの夏休みです.
 前から計画していたアンコールワットへの遺跡見物に行って来ます.

 朝から、片山さつきや佐藤ゆかりが出ているようなテレビを見なくて済むかと思うとほっとします.
 徒労感と不信感で憂鬱な気分をリフレッシュして来たいと思います.
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by pantherH | 2005-09-18 12:12

民主党は分裂するのか

 小泉自民党は新人議員を事実上小泉派に囲い込み、自民党内の権力基盤の盤石化に余念がありません.同時に組閣への小泉マジックの期待感でマスメディアの関心を引き付けているが,私には水面下で民主党議員に対して猛烈な寝返り工作を敢行している気がしてなりません.
 そもそも民主党は自民党とそのイデオロギー面において大差なく、自民党よりも有能とされる若手議員は政権担当政党へたいする野心も強い傾向にあります.次期民主党党首選びにおいても民主党を束ねられる人材は見当たりません.そんな彼らに「このまま民主党にいては君の優秀な政策立案能力がもったいない.今回刺客と称して新人議員が増えたけれども,まだまだペイペイだからね,ヤッコさんたちは.君のような人材を是非とも日本のために役立ててほしいものだよ.いずれ抵抗勢力は一層されるだろうし、今の民主党よりももっと働きがいのある党になること間違いなしだ.民意は小泉自民党だということをよく考えてみたまえ.」こんな調子で口説いている様子が想像されます.すると,「小泉さんの主張はまさに私のかねてからの主張と同じだ」と自己正当化し,「小泉自民党」に鞍替えする民主党議員が続出するのではないかと予想されます.また,憲法改悪が発議される直前に動くよりも今動いた方が世論からマスクされる可能性は高いのではないでしょうか.注意深く見ておく必要があります.

 若手民主党議員の自民引き抜き工作に対抗するためには前原という人事が必要かもしれません.小沢になったら確実に若手は自民党に雪崩れ込むと思われます.手勢を失った小沢は自民党守旧派と新党を結成するかもしれません.菅党首誕生の場合は民主党の問題点の先送り的印象が拭えず,仮に菅直人で民主党が再生しうる道は共産・社民との連合を本気で画策することだと思われます.しかしその可能性は低いと思わざるを得ません.民主党を目の敵にして没落に手を貸した共産党の言う通り,皮肉にもたしかな野党は共産党と社民党だけになってしまうでしょう.

 そうなると憲法改悪の最後の砦である参議院も、次回の参議院選挙を待たずに与党2/3を越える可能性が生まれます.もはや次の選挙までの猶予はない状況だと思われます.

 また,今回の選挙を振り返って,選挙制度の問題点を指摘した番組を多く散見します.このような報道で注意すべきは今回の小選挙区比例代表並列制重複立候補方式は次回選挙で自民党が大敗する可能性も示しており、与党は重複立候補制の矛盾をダシにして,この4年間で次の選挙で大敗しないシステムを提案してくるはずです.創価学会票を完全な自民票に取り込み小選挙区制のみの選挙制度を提案して来るか,大選挙区によるポピュリズム選挙を実現して来るだろうと予想しています.

 早々憲法改悪に着手するかは民主党いかんと言えるでしょう.
 もし、民主党が野党としての役割に目覚め、政治に真剣味を取り戻したら、自民党は選挙制度改革に着手するものと思われます.スターリン的な手法で粛正を断行しても来るでしょうが,同時に民主主義的な手法でじりじり迫ってくることにも注意しなくてはなりません.

 
 
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by pantherH | 2005-09-16 03:16 | 社会

ファシズムの土壌

今日からブログを始めました.
きっかけはやはり今回の「小泉による小泉のための選挙」でした.
郵政民営化のみを争点に掲げた小泉の戦略に危機感を感じ,また大政翼賛的に小泉改革礼賛一辺倒のマスメディアに辟易し、ブログを拝見するようになりました.「世に倦む日々」や「toxandriaの日記」が本当に勉強になりました。また、ネットウヨ達に独占されない,言論を今こそブログの世界に広げて行かなくてはいけないという主張に多いに共感するとともに、ブログにおおいなる可能性を感じたという訳です.
 つたないブログですが、今後とも宜しくお願い致します.

 今回の選挙結果は、まさに「ファシズムの始まり」だと思います.
しかし、このファシズムは昨日今日に突然現れた訳ではないと思います.
国政では殆ど仕事もできなかった石原慎太郎が東京都知事になった日,東京都民はかなりファッショな市民だなと思ったものですし,直前までじり貧の森政権を派閥の長として支えていた小泉が、4年前熱狂を持って総理大臣になった時も,日本人は実にファッショな国民だと恐ろしくなったものです.その後,イラク人質事件や冬ソナブームなど、国民のファッショ性は至る所で見られました.
 それゆえ今回の選挙は,終わってみたらファシズムになったのではなく、「最初からファシズム」だったのです。おそらく小泉や飯島秘書官は、「これってファシズムだな、しかし,止めらんないな」と、毎晩、にたついていたことでしょう.

 私はここでファシズムを支持した日本国民のメンタリティーを考察したいと思います.

 田舎出身の私は、まだ子供でしたが、自民党型の利権政治がどのように人心を荒廃させてきたか間近で見てきました.
 公共事業による雇用創出と言っては山河を削り、自分の山がいくらで売れたと自慢して遊興にふける大人たち.俺にもおごれとおこぼれに預かろうとする大人たち.
 昔は村の財政を圧迫させては申し訳ないと、村議会議員を皆2期で辞めるのが暗黙の了解となっていたにものでしたが,3期以上勤めると議員年金がもらえるからと画策し、無投票で3期務められるようにしてしまった長老たち.
 GATTのウルグアイラウンドで農産物の輸入推進を迫られた結果,輸入農作物の加工業に補助金を出すこととなり,融資ではなく、多額の補助金をもらってパン屋を始める商売人たち.

 リゾート法とバブル経済なるもので更に拍車がかかり、悲しいかな、みんな拝金主義にどっぷり浸かってしまいました.精神は堕落し,公共の財産を喰うことが当然視され,いかに上手く喰えるかが頭の善し悪しの基準になりました.「美味しい」という言葉はそのメンタリティーを象徴していると思われます.自ら拝金主義に毒されていることは棚に上げ,利権政治に辟易し始めた都市住民は「クリーンな政治」を求めるようになりました.しかし残念ながら求めたのは「クリーンな政治」ではなく「クリーンな政治家」だったのです.そして「クリーンな政治家」の希求は政治家の行政化とポピュリズムをもたらしたのでした.

 バブル崩壊後,さんざん喰いまくった頭のいい人々は,その乱脈ぶりの責任を追及されることなく公的資金という名の税金で尻拭いしてもらいました.一方庶民は,どのみち解雇される運命にあったのに,銀行や大企業が倒産したら雇用の保障はなくなるという説明に追随し,政治家や官僚,金融機関上層部の責任追及には目を塞ぎました.そして自分は負け組にはなるまいと猛進し,甘い生活を送る人々への嫉妬と,脱落して行く人々への嫌悪感の炎を滾らせて行ったのです.このようなルサンチマンは負け組特有のものではありませんでした.立身出世が第一義の目的となりがちなアカデミックやホワイトカラーはルサンチマンの感情を、勝ち馬に乗るという心理と相乗し大政翼賛化していったのです.

 振り返ってみると、江戸幕府は農民から年貢を吸い上げるだけ吸い上げておりましたが,武士に向けられる不満の矛先をそらすために身分制度を作りました.幕府は農民たちに高い身分を与え,穢多・非人なる人々を徹底的に差別させることで、怒りが支配階級に及ばないようにしました.今日の社会的・経済的弱者を敵対視する風潮は,まさに江戸時代を見ているようです.当時はまだ識字率も低く,人権という概念さえ輸入されていなかった時代ゆえ、理性的であることを求めるのは酷かもしれません.しかし意欲さえすれば様々な情報の入手が可能で、勉強する機会を保証されている現代の私たちが,江戸時代と同じメンタリティーに陥っているのは,人類の理性を希求する歴史に対する冒涜だと言っても過言ではないでしょう.

 今日、部下や顧客などの管理に頭を悩ましているサラリーマンたちには「○○管理術」なる本を熱心に購読し,全てのヒエラルキーの人々が「プチ管理者」となるように強いられております.このようなプチ管理者の「成功の秘訣」はずばり「自己愛・自己肯定」と言えましょう.また,常に管理することに関心があるため,管理する側の論理に与し易い傾向にあります.しかし実際の現場では地道に取り組まざるを得ず,フラストレーションを抱え込んだ人々は,自己否定と自己肯定の葛藤に晒されています.彼らにとって「自己愛に基づく小泉的態度」は,当初、日々の地味な努力を蹂躙する強い嫌悪感と,見事な人心掌握術に対する強い憧憬をもって迎えられたことでしょう.しかしこれも4年も続くと次第に前者の気持ちを維持するのも阿呆らしくなり,憧憬ばかりが占拠するようになったのだと思われます.まさに,まじめに対峙することが阿呆らしくなったときにファシズムが現実化することの象徴と言えるでしょう.

 こうして、インテリもサラリーマンもB層と言われる人々もこぞって「小泉的ファシズム」を支持したのだと思われます.

 もちろんメディアの担った役割,小泉の手法の見事さ,民主党の不甲斐なさなど、原因は多々あろうかと思いますが,ファシズムを生み出す精神構造が日本人の中に溢れているのだと思われてなりません.そしてこれは自分自身に対する戒めでもあります.
 大変長くなり申し訳ありません.お読みいただきありがとうございました.以下に,茨木のり子さんの詩を紹介して終わろうと思います.

ぱさぱさと乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ

茨木のり子 「自分の感受性くらい」
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by pantherH | 2005-09-15 01:51 | 社会