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国防について

 Under the Sun-EQTで、国防についてのアンケートを行っています。非常にデリケートな問題であるため、アンケートの選択肢は以下の全部で8つあります。

質問:あなたが考える、この先、日本がとるべき国防の方向は?

1.非武装をすすめ、他国から侵略されても抵抗をすべきではない
2.他国から侵攻は防衛しても、攻撃はおこなうべきではない
3.専守防衛は現在でも可能なので、現状を変更する必要はない
4.武装を強化し、専守防衛に徹すべし
5.武装強化・憲法改正をおこない、専守防衛に徹すべし
6.日本にとって危険な国に対しては、先制攻撃を加えるべき
7.核兵器の開発までふくめ、軍事力を増大していく必要がある
8.その他

 私は、2.他国から侵攻は防衛しても、攻撃はおこなうべきではない を選択します。日本には憲法第9条があるからというのがその理由ではありません。理由を述べるのは非常に難しいのですが、端に私の「本能」がそう言っているからです。

 私が「国防」に関心を抱いたのは、中学生の時分に縁あってスイスに1週間旅行に行ったときです。ご存知の通りスイスは永世中立国を謳っていますが、徴兵制がひかれています。スイスを訪問した際にお世話になったホストファミリーの父親は、私が滞在中、あいにくスキル維持のための徴兵に出掛けていました。アルプスの麓では男達が射撃の練習をし、銃声が山麓にこだましていました。家には勲章が飾られ、各家には核シェルターとして地下室が備えられていました。普段はチーズやワインなどの倉庫として使っているのだそうでしたが、シェルターを備えないと家を新築できないのだと言っていた記憶があります。

 村にはスポーツセンターに併設して、というかスポーツセンターの地下に巨大な核シェルターがありました。厚さ30cmもあろうかという鉛とコンクリートで出来た重たい扉を開けてシェルターの中に入ると、放射能汚染した衣類などを着替える前室やシャワールームがあり、そこを抜けて居住空間に入ります。約2週間村人がそこで生活できるだけの水や食料や自家発電用の燃料が備蓄され、外部との連絡や情報収集のためのインテリジェンスルームまであるようで、サウンド・オブ・ミュージックでトラップ一家が目指した、大脱走でマックイーンが超えたかった、あの憧れの永世中立国「スイス」の現実に、カルチャーショック以上にカルチャーショックを受けたのでした。

 当時、NHK特集で3夜にわたって「核戦争後の地球」というドキュメンタリーを放映していました。広島型原子爆弾の何十倍の威力を持つ核爆弾が首都東京に炸裂したら、どれだけが核爆弾の放つ熱により死に、どれだけが爆風の被害を受け、どれだけが後遺症を抱えることになるのか、シュミレーションを駆使して映像化した画期的な番組でした。そして、核炸裂の後に訪れる「核の冬」の存在を知り、爆心から遠く離れた信州に住む私は、真夏にも拘らず背中に冷や汗をかき、猛烈な恐怖心を抱くと同時に、そのような兵器を開発し、更に開発し続けようとすることに怒りと絶望の感情が去来しました。
 スイスの核シェルターはまさに「核の冬」を想定しており、それも、日本の松代大本営のような一部の権力者の為のシェルターではなく、ちょっと裕福ではある村の住人達のためのものであり、核シェルターまで作って守る「国防」に度肝を抜かれたのでした。

 憲法9条により武力を放棄することで日本の平和が維持されるという理想を掲げる日本。かたや、国民の男の殆どは軍隊に徴兵され、核シェルターを作ってでも生き残ろうとするスイス。「平和」そして「国防」というものに対する考え方がこうも違うということに愕然とするとともに、スイスが正しく日本が間違っているとか、あるいはその逆であるという問題ではなく、それぞれの民族の背負ってきた歴史と、それぞれの国の地政学的な位置関係により、「平和の捉え方」や「平和の維持の仕方」は違うということを痛感させられた旅行でした。

 私は、「平和」という言葉も慎重に用いるように心がけています。イラクに訪れるつかの間の「平和」。東西冷戦下の軍事的緊張によって保たれた「平和」。核を保有することで保障される「平和」。経済的・文化的繁栄により維持される「平和」。共感と友好の感情に基づく「平和」。と「平和」という言葉には、「治安」、「政治力学」、「安全保障」、「国力」、「友愛」といったものがすべて内包されているからです。「平和」という言葉で議論してもなかなかかみ合わなかったり、深まらないのはその為なのではないかと思ったりします。また逆に、凄く力を持つのもその為とも思います。

 その上で、日本における「平和」について、「歴史」と「地政学」を踏まえ、そしてそれに「現在的事情」を加味して考えなくてはいけないのだと思っています。

 今日は疲れてしまったので、この続きは、あらためて書きたいと思います。
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by pantherH | 2006-07-13 21:45 | 社会