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後期高齢者医療

 4月から後期高齢者医療制度というとんでもない制度が動き始めました。政府は周知徹底に不備があったと陳謝していますが、あらかじめ制度の内容について明確にしてしまっては、それこそ大変なことになると承知していたので、確信犯的にアナウンスメントを控えていたのが本当のところでしょう。大手メディアもこの制度のトンでもぶりを認識していたにも関わらずずっと沈黙してきて、制度が出来上がってから取上げる。猿芝居もいい加減にして欲しいものです。

 リハビリに関する診療報酬140日上限打ち切り制度や、障害者自立支援法なる悪法の場合もそうでしたが、一度制度として成立してしまうと、窓口でどんなにその制度の矛盾や非現実性を指摘しようとも、実際のサービスを継続して受けようと思ったら、制度に従わざるを得ないのが現実です。「弱者は現実問題結局従わざるを得ない」と、居直っている政府のやり方に猛烈な野蛮さと下劣さを感じます。

 で、後期高齢者医療ってどんなのなのかと思い、厚労省のホームページでリーフレットや会議資料など目を通してみました。本音は医療費の削減にあり、政府発の一方的なプロパガンダという感じがします。作文としてはまあよく出来ているようにも思えますが、一つの制度だけでは心もとないサービスを、色々工夫してなんとか提供している現場に対する想像とかが欠落している気がして仕方がありません。残余能力の少ない後期高齢者は在宅介護、医療の重点配置、現役世代の負担軽減、が政府の3大主張だと言えそうですが、全部絵に描いた餅なんですよね。
 現在の日本に在宅・介護の担い手はいますか。介護従事者の給料は月10万円ちょっとで、それも殆どが非正規雇用。受け皿のソフト面を顧慮せずに自宅、介護と大口ばかり叩く。そこで外国人看護師だ介護士の規制緩和をとかが議論されているようですが、全く本末転倒です。発展途上国で少ない予算で自国の医療福祉を支えるために育てている看護師が、先進国やアラブ諸国の高齢者を支えるために雇われ、いつまでたっても自国の医療福祉が充実しない人的な搾取に関する国際問題だってあるというのに、全く想像力を欠いています。
 医療の重点配置の重要性は分かるけれども、保険点数制度による利益誘導で姑息にやるから、中小規模の病院なんかは疲弊して、厚労省が描く医療圏なんかほとんど崩壊しています。
 現役世代といわれても、非正規雇用ばかりで、自分の社会保障費ですらままならない現実に若者世代は晒されています。よくもまあ、美辞麗句を並べられるものだと逆に感心します。

 ただ、資料を読むと、一方的に厚生官僚は国民の敵だ!と糾弾する気持ちにはなれない部分もあります。なんか敵でもないという感じですね。何でなのか良くわかりませんが、彼らの空回り振りが凄く伝わってくる感じがするのです。現場で患者さんのことを第一に考えている人たちが描いている進歩的なイメージを汲もうとしているんだけど、言葉やイメージだけが上滑りしている感じが随所に見られます。騙してやろうという悪意はあまりなく、良いのを作っているという勘違いが紙面から感じられます。上滑りしているのは、作成段階でも検討委員会でも国会でもメディアからも、大きな波風が立つことなく全部通ってしまっているからなんだろうなと感じずにはいられません。政治だけでなく国民から緊張感がなくなって久しいけれど、緊張感のなさ故の劣化をまじまじと感じた次第です。せめて国民くらいは波風を立てないと、このまま加速度的に転がっていきそうで薄ら寒くなります。
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by pantherH | 2008-04-18 02:13 | 社会