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鑑賞報告とUndet the Sunへの提言

 2月7日のエントリーで、「イラクニ接近ス」の宣伝を当ブログで行いました。東京で上映しているため、残念ながら関西在住の私は見ることが叶いませんので、友人にお願いして感想をレポートしてもらいました。
 
 「『イラクニ接近ス』どうだった?」
 「面白かったよ。なんか、友達の旅行に行った写真とか見ながら、横でいろいろ説明してもらっているような映画だったよ。イラクのごく普通の人たちを映していて、谷澤監督は声だけの出演なんだけど、はじめインタビューする英語かなりすごくって、こんなんで大丈夫かなってハラハラしてたけど、滞在して慣れてくるにつれて意思疎通もすごく自然になってきて、そういうのも含めて監督とイラクの人の日常を捉えているっていう感じがした。」
 「内容で印象的なこととかは?」
 「パン焼き職人のおじちゃんが、仕事をそっちのけでサッカー観戦に夢中になってるシーンなんかでは、彼らもみんな僕らと同じじゃんっていう感じ。んで、例えば、この戦争についてはどう思うか?と質問するんだけど、フセインの圧政から解放してくれたから良かったって主張する人もいれば、反米感情むき出しの人もいて、イラクだってヘテロなんだよね。いずれにしても、「自分たちは日々生活し、生き残らなきゃ。」っていうメッセージを感じたよ。それから、谷澤監督が関西出身だからか、字幕が関西弁なのが反骨っぽくておもしろかった。」
 「感想、どうもありがとう。3月10日までやってるんですね。」

 本来であれば、観てレポートをしたかったのですが、そこはお許しいただくとして、今回の一連のエントリーはUnder the Sunでこんなことできないかなーという夢想からした実験的な試みです。

 学生時代に私は2年に一度行われる、山形国際ドキュメンタリー映画祭に観に行ったことがあります。そこで、コンペ作品はもとより、原一男監督の「超私的エロス」や「ゆきゆきて進軍」、土本典昭監督の「水俣」シリーズや小川プロの作品を観ました。会場に来ていた観客のほとんどは、映像関係やメディア関係の方々で、ドキュメンタリー映画に興味があるという理由で観に来る私のような人は珍しいようでした。参加者の多くは名刺交換などで売り込みに忙しく、ドキュメンタリー映像作家たちの「学会」というやや閉鎖的な印象を持ったのでした。(もう10年以上も前なので今は違うのかもしれませんが)
 こと、ドキュメンタリー映画の場合、映画の伝えるべき対象とは、エンターテイメント映画以上に庶民に向けた発信でなくてはいけないと思うのですが、なにぶんマイナーであるが故に、どうしてもフィルムの買い手に向けた発信に陥りサロン化してしまう傾向にあるように思います。これは映像メディアに限らず、セミプロの人たちのルポルタージュにしても同様です。
 しかしこのような方の持っている情報は、私たち素人の推測や感想や意見に過ぎない情報に比べ、圧倒的に深さや広を持っています。さらに、メディアで日のめを見る情報はごく一部で、その影にボツになった無数の情報があるはずです。ブログが今大手メディアの先を行っていると思うのは、メディアのていたらくぶりに加え、このような情報の拾い手をインターネット(ブログ)が担っているからだと思います。
 というわけで、Under the Sunでそのような情報を掬い上げるような役割ができないかなと、かなり壮大な夢想をしたというわけなのです。

 今の驚くべきアクセス数ではまさに夢物語なのですが、自分たちが共感できそうなメッセージを発信している映像作家の上映会、ジャーナリストの講演会や報告会を告知・宣伝し、可能な限りその感想をレポートすることからはじめられないかなと思っています。講演会などの告知はさまざまなサイトで行われているので格別目新しくもないのですが、宣伝したものに対しレポートをこつこつしていくことで、情報を発信する人との信頼関係を築け、それが新たな情報をもたらしてくれることにつながって行くのではないか。また、大手メディアではないメディアを市民の力で育てていくことにつながるのではないかと思ったわけです。
 こういうのをUnder the Sunでやるのってどうですか?
by pantherH | 2006-02-25 23:05 | Under the Sun
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